『スターウォーズ/ジェダイの復讐』
[Star Wars /Return of the Jedi] (1980)
―― “スターウォーズよ、永遠なれ!” ――
ぽっかりと穴が開いた感覚である。観終わったあと、言葉にならない空虚感と脱力感に襲われた。とうとう来たか、
この時が。愛しい恋人を突然失ってしまったかのような、そんなせつなさ。
待ちに待った『スターウォーズ/ジェダイの復讐』 は、実に見事なクライマックスだった。前作 『帝国の逆襲』 で
残されたすべての謎が氷解し、“立つ鳥後を濁さず” の言葉のように綺麗さっぱり完結してしまった。嬉しくもあり、
悲しくもあり。
ジェダイマスター、ヨーダが死んだ。皇帝パルパティンも、ダース・ベイダー――いや、アナキン・スカイウォーカー
も、この作品で命の炎を落とした。新生デス・スターは完全に破壊され、銀河帝国は滅亡する。慣れ親しんだ
キャラクターが死んでいく。泣きたくなった。帝国軍戦艦スーパースターデストロイヤーが、反乱軍の攻撃を受け、
脆くも傾き激突炎上する圧巻シーンでついに感極まった。“本当に終わるんだ”――鳥肌が立った。
闇に沈む皇帝の玉座で繰り広げられた善悪三つ巴の闘い。むせび泣くアリアの調べが鳴り響き、燃え立つ赤と鋭
く鮮やかな青のライトセイバーが火花を散らす。ああ、あまりに絵画的な父と子の激情のぶつかり合い。呼吸すら
止まりそうだ。良心甦った父、ダース…いや、アナキンが皇帝を担ぎ上げ原子炉の奈落へ放り投げる。瞬きすら
惜しいと感じた。“ああ、すべてが終わる…”一抹の悲しさと破滅の美学に打ちのめされた。
ジョン・ウィリアムズの美しい調べ “ルークのテーマ” が、まるでレクイエムのように流れる。恐怖の代名詞として
君臨したダース・ベイダーが横たわっていた。ルークが、父の亡骸に火を放つ。ヘルメットが、マントが…ベイダーが
燃えていく。ここに、血湧き肉踊らされたSWサーガ第2部3部作が、完全にその幕を下ろしたのだ。
嗚呼――“スターウォーズよ、永遠なれ!”
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