『スターウォーズ/帝国の逆襲』
[Star Wars / Empire Strikes Back] (1980)
―― “ラ短調の希望” ――
“デス・スター”を、プロトン魚雷で粉砕された銀河帝国。デス・スター攻防戦の最中、ハン・ソロ操るファルコン号に
宇宙の彼方へ弾き飛ばされたシスの暗黒卿ダース・ベイダーも、本作では堂々の復活。ゴキブリのような黒い
ヘルメットも、前作のつや消しから、光沢に変わった。
氷の惑星ホスから始まる『帝国の逆襲』。舞台はさらに、沼の惑星ダゴバ、雲の惑星べスピン……と、目まぐるしく
移動する。J.ルーカスのイマジネーションは、まるで噴水のようだ。
“ルーク、わしがお前の父親なのだ”――ダース・ベイダー、謎の父親宣言。片手を切り落とされたルークの叫びに
感応するレイア。レイアもジェダイの血を受け継ぐ者なのか?続く最終作『ジェダイの復讐』への伏線が、くもの巣の
ように張り巡らされている。この作品で、クラシック3部作すべての謎が提示され 『ジェダイの復讐』 へと、怒涛の
ごとく流れ込んでいくという仕掛け。『ジェダイの復讐』で、感動のフィナーレを迎えたいなら、本作を完全に理解して
おくことが必須だ。映画史に残る名悪役となったダース・ベイダーが、呼吸器兼生命維持装置であるヘルメットを着
脱するシーン、ホログラムでの登場だが皇帝パルパティンの御姿も垣間見ることが出来るのもお楽しみである。
全体にラ短調なのは、反乱軍の敗走が結末に控えているからだろうか。片手を失い、父親宣言に悩むルーク。カ
ーボン冷凍されボバ・フェットに持ち去られたハン・ソロ。手足がバラバラになったC-3PO。感情をコントロール出来
ないルークに困惑する師ヨーダとオビ・ワン。皆が苦悩を抱え込んだ。
ただ、漆黒の銀河を敗走する反乱軍病院船の船窓だけが、一縷の希望を抱かせてくれるのだ。
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